【なぜ、それが起こったのか?】香川県の「ゲーム規制の条例案」について【脊髄反射は、必要ない】
ゲームは一日一時間
依存と、どのように向き合うか。
話題となった、このできごと。
香川県議会が議論を進めている子どものゲームやネット依存症対策を目的とした条例案に、「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」などの具体的な制限が追加され、Twitter上では「極端ではないか」「一律に規制する意味が分からない」など物議を醸している。
条例の対象は高校生以下の子ども。1日のゲームやネットの使用時間を平日は60分、休日は90分に制限する他、夜間の使用についても高校生は午後10時以降、中学生以下は午後9時以降はゲームをさせないよう保護者に求める方針だ。罰則規定は設けない。
今回の条例案、否定的な意見が多数。
逆効果である、というツイートや、
これ何度か語ってるけど、わたしは親にゲーム禁止されてたにも関わらずお年玉でPSを買い、ばれないように玄関から入らず家の外壁を登って2階のベランダから自室に侵入し、1年近く隠れてゲームやってたから、こんな事子どもには意味ない。かえって悪知恵助長させて深刻なオタクを生む。
— くう花雪月 (@yuduki_emi) 2020年1月10日
むしろゲームはいいモノなんだよ! というツイートなど。
ゲーム禁止で思い出したんだけど、息子が低学年の頃行ってた学習塾の先生が言ってたこと pic.twitter.com/ChJ0l1w1M8
— 花森はな (@hanamori_h) 2020年1月11日
ネット上で見られる多くの意見は「反対」。
うん。
僕も同意見。
同意見なんだけどね…
ネットではよく
「反対ダー」「前時代的ダー」と騒ぎ立てる声が多いけど、
「ちょっと落ち着こうか?」と思う。
まだ「素案」の段階だから…。
日経の記事は、冒頭のリンク記事より詳しく書いてある。
少し引用する。
素案は条例の実効性を高めるため、依存性が高いとされるオンラインゲームの使用時間の上限に加えて、使用時間帯の制約も明記した。中学生以下は午後9時まで、高校生は午後10時までに使用をやめるよう求める。ただし、罰則規定は設けていないため、実質的な強制力はもたない。
さらに、県には予防対策の実施や全国で不足している医療体制の整備、相談支援体制の充実を求めた。学校や保護者に対してはスマートフォン、ゲームの適切な使用を促すための指導、閲覧制限をかけるフィルタリングの活用などを記載。法整備の検討を講じるよう、国との連携も明記した。
いくつかピックアップすると、
・罰則規定は、ない
・県に医療体制の整備、相談支援体制の充実を求めた
・学校や保護者に対し、スマホやゲームの適切な使用を促すための指導、フィルタリングの活用方などを記載
このとおり。
こうやって見ると、この条例案、
「子どもを、変える」ためのものではなくて、
「保護者を、変える」ためのものではないか…と思うことがある。
「ゲーム好きな子どもを抑圧する」という見かたより、
「依存性・依存症に対する意識を保護者に持ってもらう」
という見かたをした方がよいかと。
「それはいくらなんでも、フォローしすぎだろう」って思うかもだけど。
こういう話題が大きく取り上げられたとき、多いのが
「それが良いのか、悪いのか」だけで語られてしまうこと。
んーっと…ちょっと説明しづらいんだけど、
「なぜ、それが起こったのか?」にフォーカスした方がいい。
今回の香川県の例でいうと、
「なぜ、この条例案が出されたのか?」にフォーカスするということね。
もうひとつ引用する。
スマホ普及によるネット依存拡大も全国的な社会問題だ。厚生労働省研究班の推計によると、依存の疑いがある中高生は17年度時点で約93万人と、12年度の調査と比べて倍近くに増えている。その中で中高生は全体の約14%を占める。
このことを知っていれば、
「なぜ、条例案が出されたのか?」の理由のひとつは分かるよね。
今回、香川県が特に問題だったのは
中学生以下は午後9時まで、高校生は午後10時までに使用をやめるよう求める
に見られるとおり、
「一律に」規制をする案になっている、という点。
ゲーム禁止に効果はあるのか?
ちょっと抽象的すぎるね。
「ゲームやネット依存症対策を目的とした条例」
に効果はあるのか?
それは「場合による」。
基本的には効果がない、と言いたいところだけど、
依存症の人に対しては、別だよね。
県に医療体制の整備、相談支援体制の充実を求めた
このとおり、医療的な視点からケアすることが前提なら、話が別なのかと。
「必要な場合もあるんだよ」ということは理解すべきかと思う。
ある程度の「制限」は必要
依存の傾向がある・ないに関わらず、
ある程度「制限する」ことは、場合によっては必要。
以前にも記事にしたが、
適切な手段で「テクノロジーの利用を、制限する」ことは
教育上、有効なことだと思っている。
ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズは、
「自身の子どもたちに対し、テクノロジーの使用を制限していた」らしい。
もちろん、制限だけでもダメだけどね。
記事の冒頭で
「ゲームも、いいものだよ」という内容のツイートを引用した。
この他、ゲームをプレイすることの恩恵については、
下記の動画でも語られている。
◆ジェーン・マクゴニガル 「ゲームで築くより良い世界」
有名すぎるTED動画。必見。
まずは、対話を
少し長くなってしまったので、このへんにしようかと思う。
最後にひとつ。
何ごとも対話が必要なのかな、と思う。
対話。
「なぜ、それが起こったか?」
この背景まで考えて、冷静に考えることが必要かと思う。
例えそれが一見して「理不尽」なものであっても。
本日はここまで。