クィア・アイに学ぶ自己肯定の大切さ/「変わる」とはどういうことか
僕らは"寛容"よりも、"受容"を目指す
各分野のエキスパートであるゲイ5人組「ファブ5」が、
「自分を変えたい」人たちを変身させるリアリティ・ショーだ。
Netflix契約者は見るべき!
契約してない人は、契約する価値あり!
ぐらいの勢いで好きな番組。
この番組、よくあるビフォーアフターの番組ではない。
シーズン4が、2019年7月19日から配信されてる。アガる。
日本でこの手の番組を作ると、
どうしても「外見を変えること」に主眼を置いて、
それ以外の面にあまりスポットが当たらない。
クィア・アイの場合は、中身まで変える。
ファッションや美容面での変身はもちろん、
食生活や、考え方。加えて、お家のインテリア!
(職場のインテリアが変わる変則的なパターンもあり)
外見だけでなく、中身も変えちゃう ファブ5のメンバーはこちら。
・ボビー(インテリア担当)
・カラモ(カルチャー担当)
・アントニ(フード担当)
・ジョナサン(美容担当)
・タン(ファッション担当)
多くの変身番組が「一日だけの変身」で終わってしまうのに対して、
クィア・アイは「この先の人生」を見据えての変身になっているところが良い。
クィア・アイS3E3を見て鮮明に感じた。日曜日なんかに地上波でよくやってるのは「毎日頑張る働き者のお母さんが特別な変身をする夢の一日」だけど、クィアアイはこれからも続く毎日のためのサポートなんだ。自営で働く姉妹を楽にするのは一日だけのお休みじゃなくてソースの商品化。
— 昼 (@hitomeyokuram) March 18, 2019
シーズン3、自営のバーベキュー店で休む暇もなく働く姉妹のエピソードについて言及されている。
人をバカにすることはしない。人を笑わせることはあっても。
日本でこの手の番組が作られるとどうなるか。
よくあるパターンとして…
変身前の野暮ったい容姿のことや、垢抜けない振る舞いに対して、
レポーター役のタレントがネタにする。
そして、この様子がしつこいくらいにテロップで表示される。
スタジオのタレントが笑って、その顔がワイプに映し出される…。
日本のテレビお決まりの、人を"笑う"エンターテイメント。
クィア・アイの場合だとどうなるか。
ユーモアを交えた例えで場を和ませることはあっても、
容姿について悪くいうことはまずない。
そればかりか、ターゲットが自分自身を否定するような発言をしたり、
自虐的な姿勢をしたりすることは良しとしない。
そもそも、海外では他人の外見を悪く言うのはもちろん、「褒める」ことも状況によってはNG。
フィンランドで気づいたのは、誰も望んでないところで突然見た目を褒めることは相手を一方的にジャッジすることになり失礼にあたるということ。自分の物差しで「細いね〜」とか「肌綺麗だね〜」などと言うのは仲良しだったり相手が望んでない限り不必要。さらにネガティブなことは以ての外。絶対ダメ。
— mino (@minotonefinland) June 11, 2018
最初のエピソードでターゲットのトムが「ブサイクは治らない」といった言葉(you can't fix ugly)を放ったとき、ファブ5の皆が揃って「それは違う」と言うシーンが印象的。
そのようなシーンは、いくつかのエピソードで見られる。
「自分を大切にしないこと」に対するファブ5の目は厳しい。
根拠のない自己否定にはハッキリと"NO"。
「そんなことはない」と、真剣に向き合ってくれる。
ターゲット、という表現は適切でないかも知れない。
ファブ5は彼らのことを「ヒーロー」と呼んでいる。
いくつかのエピソードで見られるが、ときにはファブ5のメンバー達が、
変身させる対象の彼らから「学び」を得るシーンが多く映される。
そんな彼らへの敬意から「ヒーロー」と呼ぶのだ。
変わる、とはどういうことか
各エピソードの終盤で、ヒーローがファブ5に感謝の気持ちを伝えるシーンがある。
その際に、ファブ5のメンバーはよく次のような話をする。
・変わったのは、ヒーロー自身の力
・私たちは、ただ手助けしただけ
・私たちも多くを学ぶことができた
これは実際にいくつかのエピソードを観ないことには伝えづらいことなんだけど、
的確に表現したツイートを見つけた。
クィアアイ、「間違ってる人を正す」番組じゃないんですよね。自信を失った人に、自分を愛すること、自分をいたわること、自分を大事にすることを教える番組
— 志 (@aktf_wcbh) March 21, 2019
そうそう、まさにそれ!と首を縦に振りまくった。
この番組は、服装やヘアメイク、スキンケアによる見た目の変化にも驚くけれど、
それ以上に驚くのが中身の変化。
もう、明らかに表情が違う。変身前と、後とで。
暗かった顔は明るくなり、失った自信が取り戻される。
表面的な「変わる」で終わらない。
与えるだけで終わらない。
自分の良さに「気づいて」もらう。その手助けをする。
そんな番組。
変身に要するのは一週間。
各エピソードではその一週間を見ることができるんだけど、
日に日に、ヒーローがファブ5に心を開いていくのも良い。
(そして、一部のエピソードではその「逆」パターンもある)
どれもおすすめのエピソードだが、
僕が視聴した中で特に好きなエピソードはこちら。
シーズン1 ep.4「ゲイらしく生きるか生きないか」
シーズン2 ep.1「ゲイに神のご加護を」
シーズン2 ep.2「最高のプロポーズ」
ここまで推しておきながら、シーズン3のep.5までしか観てない。
ちゃんと時間管理して、しっかり観ておきたい。
クィア・アイ。心の栄養。
本日はここまで。