【読書】秋だからオススメの小説を3つ挙げる

 

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秋。

読書がはかどる季節になってきた。

たまには肩の力を抜いて、娯楽小説を楽しみたい。

僕にとっての娯楽小説はミステリー。

おすすめの3冊を挙げる。

 

 

『ユダの窓』/ カーター・ディクスン

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ジョン・ディクスン・カーの別名義、カーター・ディクスンによる作品。

 

(あらすじ)ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。話の途中で気を失ったアンズウェルが目を覚ましたとき、密室内にいたのは胸に矢を突き立てられて事切れたヒュームと自分だけだった?殺人の被疑者となったアンズウェルは中央刑事裁判所で裁かれることとなり、ヘンリ・メリヴェール卿が弁護に当たる。被告人の立場は圧倒的に不利、十数年ぶりの法廷に立つH・M卿に勝算はあるのか。

 

いわゆる法廷もののミステリー。

法廷もの、好きなんだよね。

先日話題にした『疑惑』は「誰がやったか?」が気になる作品だったけど、

『ユダの窓』は「誰がやったか?」に加えて、「どうやったか?」が法廷で明らかになっていく。

トリックはあまり大掛かりなものではなくて、人によっては肩透かしを食らってしまうかも知れないけど、この小説は法廷でのやりとりが劇的で気持ちいい。

CAPCOMの『逆転裁判』シリーズが好きな人には特にオススメできると思う。

 

探偵役はヘンリ・メリヴェール。

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巨体のおじさん。

 


ユダの窓 (創元推理文庫)

 

  

『名探偵に薔薇を』/城平京

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1冊の中で、2部構成になっているミステリー。

 

(あらすじ)始まりは各種メディアに送付された『メルヘン小人地獄』という童話であった。そこには、毒薬を作った博士と毒薬の材料にされた小人達の因果の物語であり、猟奇的とも言え、それが書かれ送付された意図は不明であった。

やがて、童話をなぞるように第一の事件が発生し、世間の注目を集めることとなる。やがて第二の犠牲も出たものの、容疑者にはアリバイがあり逮捕が困難。そこに名探偵が現れ、鮮やかに事件を解決する。

だが、それが原因で後に再び事件が起きることとなる。

 

城平京といえば、『スパイラル 〜推理の絆〜』の原作の人だね。

 

f:id:popyon:20191027202224j:plainスパイラルの竹内理緒たそ~ 

 

探偵役は瀬川みゆき。

挿絵がないことと、映像化されてない作品だから、見た目は想像するしかない。

この小説、マジで映像化してくれないかな…と定期的に思う。

実写・アニメ両方いけると思うけど、内容からするとアニメ向きかな。アニメなら声優は沢城みゆきさんのイメージ。クールビューティーな探偵役にはピッタリだろう。名前も同じというところも良い。 

この小説、たしか「タイトルはこれ以外有り得ない!」って帯の煽りがあったように記憶している。本当にその通りだと思う。

第一部は猟奇殺人ものともいえるが、話が続く第二部ではその印象はガラリと代わる。

 


名探偵に薔薇を (創元推理文庫)

 

 

『春にして君を離れ』/アガサ・クリスティー

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先に紹介した2作とは異なり、人が死なない作品。

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

 

この小説は本当に怖い。

怖いといっても、人は死なない。また、作中で登場人物が明らかな命の危険に晒されることもない。ただただ、主人公の女性『ジョーン・スカダモア』の心理描写が続く。

 

個人的にすごくシンプルに怖さを説明すると

「自分で気づかない、そして誰からも気づかせてもらえないのは、怖いこと」

ってところかな?

 

読む人によっては、ジョーンを身近な人に重ねるかも知れない。

そして同時に、自分にも重なるかも知れないという恐怖。

 

Amazonのレビューで非常に参考になる文を見つけた

 

人の気持ちのわからない人、でも、自分ではそれでよいと思っていて、何も疑わない。
自分の信じている価値観で生きていて、それに属さない人は 間違っていると信じている。

今風にいえば 発達障害にもあたるのでしょうか。
子供の虐待にもつながることをしておきながら、自分はよき母 よき妻と信じて疑わない。
本人に悪気はないけれど、身近にいる人間は、一緒に生活しているのがつらくてしょうがない。

その当時ももちろんこういう人はいたのでしょうが、
教養ある上品な人間として振る舞われているので、
社会的には罪には問われず、本人も自分は正しい人間だと思っている。

こういう小説を書けるアガサはやはりすごい作家だと思います。

 

この小説の最後の2行は本当に恐ろしい。

身近な人にはあまり薦められない本かも。

紹介して思ったけどこの『春にして君を離れ』だけは娯楽小説ではないな、と思った。

その代わり、一度読んだらきっと手放すことはないと思う。

そんなバイブル的な本なので、未読の方はぜひ。 

 


春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

そんなワケで

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オススメ小説の紹介でした。

 

最近は実用書ばかり読んでいたので、もっと娯楽小説を楽しむ時間を増やしていきたい。

 

本日はここまで。